硝子体出血

硝子体出血とは


pixta_19943269_M硝子体は眼球内の大部分を占めるゼリー状の透明な組織で、眼底に隣接しています。硝子体自体は血管を持たないので出血することはありませんが、眼底が出血すると硝子体内に出血が溜まることがあり、これを硝子体出血と言います。
症状は出血量によって異なりますが、量が多いと網膜まで光が届かなくなり、視力低下が起こります。悪化すると失明の可能性もあるので注意が必要です。

原因

主な原因は新生血管からの出血です。新生血管は正常時は存在しないですが、加齢黄斑変性症や糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などが進行すると網膜や脈絡膜から生じ、非常に脆いという特徴があります。新生血管が硝子体まで伸びた後、破れてしまうと出血を起こし硝子体出血を発症します。
新生血管のほかにも外傷や後部硝子体剥離、網膜裂孔、網膜剥離などで正常な血管が破れて出血することでも発症します。

症状

硝子体出血の症状は出血量によって異なり、少量の場合は黒いものが飛んで見えるなどの飛蚊症を自覚する程度です。ただし、出血量が増えるほど硝子体は濁っていき、網膜に光が届かなくなるので、その結果、視力低下や目がかすんで見えるようになります。放置すると重篤な目の病気や失明に至ることもあるので注意が必要です。

検査

硝子体出血は他の病気が原因となって生じることが多く、原因の特定が重要です。検査は以下のようなものが行われます。

眼底検査

眼底検査では、まず散瞳薬を用いて一時的に瞳孔を開き、眼底鏡を通して眼底に異常がないかを調べます。

光干渉断層計(OCT)検査

OCT検査は近赤外線で眼底の断片画像を撮影する検査で、網膜や黄斑部などの異常を精緻に早い段階で把握することが可能です。ただし、大量の出血がある場合は眼底をしっかりと確認できない場合があり、その際は以下の検査を追加で行う必要があります。

治療方法

硝子体出血は原因によって治療方法が変わります。特に網膜剥離を伴う出血なのかどうかで以下のように治療法が異なります。

網膜剥離をともなわない場合

硝子体内に流れ出た出血量が少量であれば自然吸収することがありますが、出血量が大量で大幅な視力低下を起こしている場合は、出血部分を取り除く硝子体手術を行うことがあります。また、出血原因となる疾患がある場合は、並行して治療を勧めます。

網膜剥離をともなう場合

網膜裂孔の段階であればレーザー光凝固術で裂孔を焼き固める治療を行います。しかし、網膜剥離までに達している場合は出血部分を取り除き、剥がれ落ちた網膜を眼底に復位させる硝子体手術を行う必要があります。また、網膜剥離を合併させた病気などがある場合は並行して治療を行います。


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