お子さまの近視矯正について
近視とは手元や近方は見えるが遠方は見えない状態のことをいい、一般的に目が悪いとされている方はこれにあたります。悪化すると日常的にコンタクトレンズや眼鏡がないと生活に支障がでるようになりますが、当院では年齢別に最適な解決策をご提供しております。
学童期
近視は遺伝的要素が大きく関係しており、両親が近視のお子さまはそうでない場合に比べ、20倍以上近視になりやすいと言われています。
また、近年はゲームやスマートフォンの普及により、外で遊ぶことが少なくなり、長時間画面を眺めてしまい、近視をより進めてしまっています。お勧めとしては日に1~2時間でもスポーツなど屋外で遊ぶことが近視を抑制することに繋がります。お子さまの禁止が進むと親御さまはどうしたらよいのかと心配になるかと思います。
現在世界的に行われている近視進行抑制の方法があり、当院でも実施していることを以下にまとめております。
オルソケラトロジー
角膜がまだ柔らかい小児に有効で、低濃度アトロピンと併用して使われることもあります。
オルソケラトロジーの
メリットとデメリット
メリット
就寝時に専用のコンタクトレンズを装着するだけで、日中は裸眼でも近視・乱視を矯正できるので、手術を必要としません。
また、軽度の近視であれば一度の装着で数時間効果が期待できます。もしコンタクトレンズ装着中に何かあったとしても、治療をすればすぐに元に戻るのでご安心ください。
デメリット
起床時にコンタクトを外しますが、乾燥などによって角膜を傷つけることがあるので、通常のコンタクトと同様にケアが必要となります。また、レンズには寿命があり、2~3年で交換が必要です。稀に夜間ににじみや眩しく感じたりすることがあります。レンズの装着を中止すると元に戻ってしまいます。
オルソケラトロジーはこんな方にお勧めです
- 眼鏡を掛けることを嫌がるお子さま
- 日中、眼鏡やコンタクトレンズを使用するのが煩わしい方
- 早く効果を得たい方
- 仕事中は裸眼であることが求められる方、もしくは就業したい方
- 格闘技や激しい運動を伴う方(競輪・競馬・競艇など、近視手術が禁じられている職業も含みます)
オルソケラトロジーの流れ
1初回診察時:各種検査
治療内容のご説明をした後、オルソケラトロジーへの適応検査を受けて頂きます。
検査内容は視力検査、角膜形状検査、屈折検査などがあります。
2次回来院時:作製したレンズのお渡し・ご説明
初回の適性検査の結果を踏まえ、作成したレンズをお渡しし、使用方法や注意事項などをご説明します。その場で装着の練習も行いますので、ご帰宅後も安心して装着を開始できます。
3定期検査で経過観察
レンズお渡しから経過観察として1週間、2週間、1か月、3か月と検査を受けて頂き、以降3か月ごとの検査でアフターケアを行います。
必ず定期検査にご来院ください
- 定期検査では目の異常やレンズの状態を確認します。
- 本人は問題なく使えているように感じていても、目に負担がかかっていることもあるので、定期検診は必ず来て頂くようお願いいたします。
- 少しでも目に異常を感じることがあれば、すぐにご来院ください。
治療費用
費用(税込) | |
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レンズ代 | 149,800〜179,800円 |
適応検査 | 3,000円 |
※オルソケラトロジーは自費での診療となりますので、ご了承ください。
オルソケラトロジーQ&A
オルソケラトロジーとは何か教えてください。
個々の患者様の角膜に合わせた専用のコンタクトレンズを就寝時に装着し、角膜の形を綺麗に整える治療法です。起床後はコンタクトを外しますが、日中は裸眼でも近視・乱視が強制された状態が一定時間続きます。
何歳から可能ですか?
4歳以上から治療を受けることが可能ですが、小さいお子さまの場合はご家族のサポートが必要になります。
治療を受けられないこともありますか?
4歳未満の方は治療適応外となっており、他にも目に疾患を患っている方、ドライアイや強いアレルギーをお持ちの方は治療を受けられないこともあります。初回診断の際に判断してご説明いたします。
定期検査をなぜ受けないといけないのですか?
本人に自覚がなくとも、コンタクトレンズに予期せぬ障害が起こっており、目に負担をかけていることもあるので定期検診は必ず必要です。
検査では目の状態やコンタクトレンズの状態を確認いたします。
効果はどれくらい続きますか?
効果は一時的なもので、コンタクトレンズの装着を中止すると元の状態に戻ってしまいます。ただし、軽度の近視の方であればコンタクトレンズを一度着用するだけで、数日間効果が持続することがあります。
レーシック手術を受けた後でもオルソケラトロジー治療は可能ですか?
レーシック手術を受けた方でもオルソケラトロジー治療は可能です。レーシック後にまた視力が落ちたと感じる方はお気軽に当院までご相談ください。
マイオピン治療
(低濃度アトロピン点眼による小児近視抑制治療)
眼鏡やコンタクトレンズはお子さまの近視を矯正するためにもっともよく用いられる方法ですが、近視の進行を阻止することはできず、屋外活動などにも支障をきたすことがあります。低濃度アトロピン点眼は誰でも簡単に行うことができる近視抑制として注目を集めています。
低濃度アトロピン点眼液「マイオピン」
アトロピン点眼薬は1960年代から炎症の治療などで使用されており、当時から近視抑制効果は認められていましたが、目の痛みやアレルギー性結膜炎など副作用が報告されていました。しかし、シンガポール国立眼科センター(SINGAPORE NATIONAL EYE CENTRE)の研究でアトロピンを低濃度にすることで副作用を出さずに近視を抑制することに成功し、マイオピン点眼薬として注目されるようになりました。
マイオピンの特徴
マイオピンは副作用が少ない近視進行抑制点眼薬で、シンガポール国立眼科センターの調査でも目立った副作用は報告されておりません。
研究では以下のようなメリットがあると報告されています。
- 近視の進行を抑制できます。
- 近視の進行を60〜70%軽減させることが期待できますが、有効な効果を得るには2年以上継続する必要があります。
- 日中の光のまぶしさに煩わしさは感じません。
- アトロピンという成分により瞳孔が自然と開きますが、濃度が低いため日中の光のまぶしさなどは影響しません。
- 手元を見る作業は正常な方と同じように行えます。
- 目の遠近距離調節機能に影響を与えないため、本を読んだり、文字を書いたりすることも可能です。
- マイオピンは毎日就寝前に1滴点眼するのみの簡単な治療です。
- 他に追加で必要なことはないので誰でもできます。
- マイオピンの点眼は視力低下に影響はほとんどありません。
- 手元を見るための眼鏡が不要です。
- 点眼薬は1本5㎖で、両眼用で1カ月で使い切ります。
- 使い切りの薬のためケアを必要とせず、衛生的に使用可能です。
- 点眼薬はGMP(医薬品製造管理および品質管理基準)準拠の薬品会社で製造されたものです。
マイオピン治療のデメリット
- 点眼後7~8時間ぐらい視界がぼやけたり、まぶしさを感じることがありますが、就寝前に点眼することで翌日は問題なくお過ごし頂けます。
- 点眼薬は稀に結膜炎などを引き起こすことがあります。
- 保険適用外(自費診療)となるため保険診療と同日には行うことができません。(2019年8月1日から日本でも治験が始まっており、将来的には保険導入される可能性はあります。)
- 効果には個人差があります。
治療費用
1本 | 2,000〜4,000円 |
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検査(視力検査 眼軸長測定 診察など) | 初回1,500円 |
※マイオピンは保険適用されず、自費診療となります。
※点眼薬は1本が1ヶ月分で、使用開始直後は1ヶ月後の診察、その後は3ヶ月に1度の経過観察が必要となります。
※治療効果を得るのに2年間は最低でも続ける必要があると言われていますが、決まりではないので患者様がご希望する範囲で続けられます。
ICL(眼内コンタクトレンズ)
ICL(Implantable Collamer Lens:眼内コンタクトレンズ)は小さなレンズを目に移植する治療で、近視・遠視・乱視の矯正が可能です。 従来の方法であるレーシックは角膜を削るため、元の角膜が薄い方は適応外であったり、強度の乱視や近視の矯正には不向きとされていました。 ICLは専用のコンタクトを目の中に挿入するので、これまで治療できなかった方も手術を受けていただけます。また、治療後でも度数が合わなくなってきた場合はレンズを取り外して、再矯正することも可能です。 裸眼で日常生活を送りたい方にはお勧めの方法になります。